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分断を含んだ訴訟の教科書、最高裁の判決とは?

分断を含んだ訴訟の教科書、最高裁の判決とは?

 

分断を含んだ過払い金の訴訟においては、
平成20年1月18日の最高裁の判決を
参考にするとよいと言われれています。
どんな判決なのか、ネットでも検索できますが、
ここで簡単にご紹介したいと思います。

 

≪最高裁平成20年1月18日判決≫

 

・第1の取引:平成2年9月3日〜平成7年7月19日。
 利率29.2%、遅延損害金36.5%、過払い金42万9657円

 

 3年ののち同一支店にて
・第2の取引:平成10年6月8日〜平成17年7月7日。
 利率29.95%、遅延損害金39.5%。過払い金68万7802円

 

第1の取引で生じた過払金が第2の取引の債務に
充当されるかどうかが争点の裁判である。

 

原審(名古屋高等裁判所)では、単に第1と第2の取引は
実質上1個のリボルビング払いの貸借契約と考えられるため、
第1の取引での過払い金が第2の取引での債務に充当されるとした。
しかし、第1の取引と第2の取引とが事実上1個の連続した取引
であると評価できる「特段の事情」がない限りは、第1の取引での
過払い金を第2の取引での債務に充当させるべきではない。

 

本件においては、
@第1の取引から3年も空いてのち改めて第2の取引を締結していること
A第1の取引と第2の取引とでは利息、遅延損害金の利率が異なること
等からも特段の事情が在るとは考えにくい。

 

したがって、特段の事情があるかどうか更に審理を尽くさせるため
原審に差し戻すこととした。

 

↓ ↓ ↓

 

ここでポイントとなるのが「特段の事情とは何か」です。
「第1の取引と第2の取引とが事実上1個の連続した取引であると評価できる」
場合に当たるのがイコール「特段の事情」であるならば、「どうであったなら」
第1の取引と第2の取引が1つの連続した取引と評価できるのでしょうか。

 

その判断基準とでもいうべきものがこの判決には示されています。すなわち

 

1、取引全体の期間の長さ
2、取引と取引の間の空白期間の長さ
3、第1の取り引きの契約書を返還したかどうか
4、カード失効の手続きがあったかどうか
5、取引と取引の間の空白期間中に業者との接触があったかどうか
6、第2の取引が締結されるに至った経緯
7、第1と第2に取り引きにおいて利率等の契約条件が同じか異なるか

 

これらを総合的にみて「一連の取引」かどうかを評価するというのです。

 

最高裁の判決ですから、その後の下級裁判での審理に大きな
影響を与えることとなりました。

 

特に2、の空白期間については、本件が3年であったということから、
空白期間が3年以上あれば分断、
それより短ければ一連とした判所も出るように。

 

「分断」を含んだ過払い金訴訟を起こす人はみな、この判決を必読の
学習書としているようです。準備書面(業者の出す答弁書に対する文書)は、
この判決を咀嚼し活用したものであるといっても過言ではありません。

 

 

具体的に言えば

 

1、→ 取引すべてを合わせた期間が長く
2、→ 空白期間が短い
3、→ 契約書は返還せず
4、→ カードはそのまま同一のものを使用
5、→ 取引してないときも業者から勧誘があった
6、→ 誘われたのでまた取引をしてしまった
7、→ 取引の利率は同じ

 

こうなってくると「一連」は確定的です。
全てがこの条件に当てはまってなくても、要は解釈の問題。
どう解釈し、自分の裁判にとって有利な点をどう陳述に盛り込むか
が勝敗のカギと言えそうです。

 

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